このページの要点
- 有効期間は、期間なし+随時見直し型、各人の認定日から1年の更新型、契約期間と一致させる型から選ぶ。
- 年会費は何の対価かを書き、支払済みの年度に同意なく追加請求しない。更新の条件は更新の申請に先立って通知する。
- 更新の要件は継続学習(例えば年20時間)で確かめ、指導時間は昇格の基準にとどめる。
- 事業者側の審査遅延のときは暫定的に活動を続けられるようにし、更新を忘れた人には猶予期間と復帰のルールを置く。
結論:認定は「付けて終わり」ではなく、更新の仕組みで品質を保つ
認定講師養成講座のレビューで、事務所は「認定講師制度は、認定することよりも、認定後の品質管理の方が重要」とまとめました。一度認定した人が何年も名称を掲げて教え続ける以上、その人の技術や表示が制度の信用を左右するからです。依頼者原案は、認定した後の資格の管理(停止・取消し)がはっきりせず、更新の条件も「別途定める」とだけ書かれていました。
認定後の品質を保つ道具は、有効期間、更新の要件(継続学習など)、年会費、失効と復帰のルールです。このページでは、有効期間を置くかどうかの3つの型から始めて、年会費と更新料の書き方、継続学習、審査が遅れたときの扱い、更新を忘れた人の失効と復帰、ランクと昇格までを整理します。停止や取消しといった処分の手続は認定の停止・取消し、失効した後の名称の表示は名称・ロゴのガイドラインのページで扱います。
有効期間の3つの型
事務所が見てきた書類では、有効期間の置き方はおおむね3つの型に分かれます。
有効期間の置き方
期間なし+随時見直し型
- 仕組み
- 有効期間は定めないが、提供状況・技術水準・ガイドラインの遵守・苦情や事故の報告などを考慮して、定期又は随時に継続の可否を見直す
- 向く制度
- 月会費を払い続けることで資格を維持する会員型
1年更新型(各人の認定日基準)
- 仕組み
- 各人の認定日から1年。更新後も各人の認定日を基準にした1年ごと。認定証に開始日と有効期限を記載
- 向く制度
- 継続学習や年会費を毎年確認したい制度
契約期間=有効期間型
- 仕組み
- 受講契約の期間(例えば1年)を認定の有効期間とし、満了後は更新の申請
- 向く制度
- 受講契約と認定を一体で運用している小規模な講座
どの型でも、更新・停止・取消し・終了があったときに、効力の発生日と認定の状態を本人に通知し、登録情報に反映すると書いておきます。
1年更新型を採るときにヒヤリングで必ず聞くのが、「全員同じ月に更新するのか、各人の認定日を基準にするのか」です。全員同じ月にすると事務は楽ですが、年度の途中で認定された人の初年度が短くなり、年会費の按分が問題になります。各人の認定日を基準にすると公平ですが、更新の案内を一人ずつ管理する必要があります。認定制度を立ち上げた案件では、各人の認定日を基準にする方式を採りました。
年会費・更新料の書き方
年会費の条では、金額のほかに「何の対価なのか」を書いておくと、後から内容を変えるときや、返金の可否が問題になったときに説明しやすくなります。事務所の認定講師規約の例では、年会費は初年度と更新年度ごとに定額とし、システムの利用料と認定後のコミュニティへの参加費を含む、としました。認定講師個人の指導について、売上・生徒数・回数に応じたロイヤリティは取らない(事業者が紹介した法人研修などは除く)とも明記しています。年会費の中身と、取らないものを並べて書くことで、認定講師が負担の全体を見通せるようにしたものです。
- 年会費は、初年度及び更新年度ごとに定額とし、システム利用料及び認定後のコミュニティ参加費を含みます。乙個人の指導について、売上、生徒数又は指導回数に応じたロイヤリティは徴収しません。
- 年会費は、初年度は認定日から1か月以内、更新年度は更新日から1か月以内に支払うものとします。
- 送金手数料等により当社が受領した額が請求額に満たないときは、支払者は不足額を支払います。当社は、請求時に請求額及び税の取扱いを明示します。
- 年会費又はその対象となるサービスを変更する場合は、変更の条の手続によります。既に支払われた認定年度について、乙の同意なく追加の年会費を請求しません。
第3項は、手数料を支払者の負担とする定めを実効的にするための一文です。「負担する」と書くだけでは、不足が生じたときに誰が埋めるのかが読めません。
更新料の条では、「更新の条件は更新時点で別途定める」とだけ書く例が少なくありません。認定講師養成講座のレビューでは、契約時に年数万円程度を想定していた受講者に、更新時に年十数万から数十万円を提示すれば、「説明を受けていない」「資格を人質に取った不当な条件変更だ」と主張され得る、と指摘しました。続けるかどうかは受講者が選べるので直ちに違法とはいえませんが、満了後も活動を続けるなら別途の更新の契約を結び、その条件は更新の時点で定める、という構成が安全です。
改訂の例 更新の条件の書き方
更新条件の通知
「ライセンス継続費用、更新条件、更新期間その他更新に関する事項は、更新時点において甲が別途定める」とだけ書かれていました。
同じ文に「甲は、更新申請に先立ち、乙に対してその内容を書面又は電磁的方法により通知する」を加えました。
ねらい何も知らされないまま更新期限を迎えることがないよう、事前の通知を事業者の義務にしました。
合格と活動の関係
契約期間の満了後も認定試験を受けられるとだけ書かれていました。
「認定試験に合格した場合であっても、有効なライセンス契約又は更新手続が完了していない限り、認定講師として活動し、ブランド表示を行使することはできない」という項を新設しました。
ねらい合格だけで活動できると読める余地をなくし、更新の手続と活動の権限を結びつけました。
受講者向けの規約と認定規程の両方に年会費が出てくる場合は、境目にも気を配ります。上位コースの受講料に「受講開始から最長1年間のコミュニティ参加」を含め、認定後のコミュニティ参加は年会費に含める設計にした案件では、受講開始から1年が経ってから認定されるまでの間に空白ができる可能性があり、依頼者に確認する事項として挙げました。月会費型の制度では、支払が確認できないときに催告のうえ一時停止又は解除する、会費の変更は効力発生の1か月前までに通知する、と書く例が見られます。
受け取った年会費を返すかどうかも、年会費の条とあわせて決めておきます。事務所の認定講師規約では、本人の規約違反による停止・取消しや、本人の辞退のときは、支払済みの年会費を返さないことを原則としつつ、事業者側の事由で認定を停止・取消し・終了したときは、その認定年度の受領済みの年会費を返す、と分けました。取消しの判断が事実の誤認によるものと分かった場合は、事業者側の事由として扱います。「いかなる理由があっても返金しない」と書くと、事業者の都合で制度をやめた場合まで返さないことになり、認定講師が消費者に当たる場面では、消費者契約法の面からも説明がつきにくくなります。処分との関係は認定の停止・取消しのページで扱います。
更新の要件:継続学習と、指導時間を条件にしない理由
更新の要件として事務所の認定講師規約に置いたのは、年間20時間以上の継続学習、事業者の承認、支払期限までの年会費の支払の3つです。継続学習の対象は広くとり、事業者の動画の視聴、コミュニティの勉強会、講演会・学会・他団体の勉強会、業界の交流会、実演の活動、ほかの講座の受講など、能力の維持・向上につながる活動を全て算入できるとしました。
- 指導の時間は継続学習に算入せず、更新の条件にもしない。依頼者の回答を反映したもので、指導の少ない年でも、継続学習の要件を満たせば更新できます。その場合は昇格の基準を満たさないにとどまります。
- 1時間単位で計上し、1時間未満は切り捨てる。申告には活動ごとの日付、イベント名、主催者、時間を書き、受講証明など確認できる資料を2年間保存して、求められたら提出します。
- 実際にしていない学習の申告や、同じ時間の重複計上を禁止する。虚偽の申告は取消しの事由にもつながります。
- 新しい学習要件を、履行の機会を与えずに過去の認定年度へ適用しない。年度の途中で要件を重くして、その年度の更新を拒むことはしない、という約束です。
指導時間を更新の条件にしたい、という相談は少なくありません。ただ、指導の機会は地域や本業の事情で大きく変わり、条件にすると、教える場がない人ほど認定を失うことになります。品質の維持は継続学習で確かめ、指導の実績は昇格の基準で評価する、と役割を分けたのがこの案件の設計です。
審査が遅れたとき、更新を忘れたとき
更新の制度には、事業者側の都合で審査が遅れる場面と、本人が更新を忘れる場面の、両方への備えが必要です。
- 乙が期限内に必要な申告及び資料の提出を完了したにもかかわらず、当社の審査上の事由のみで更新の可否の通知が遅れる場合は、停止又は取消しがない限り、当社が可否を通知するまで従前の範囲の指導及び認定表示を暫定的に継続できます。当社は遅延の理由及び審査の見込みを通知します。
- 当社の審査遅延のみを原因とする年会費の支払の遅れを、乙の不払いとして処分しません。更新を認めなかった年度について年会費を受領しているときは、これを返金します。
- 乙による申告又は資料の不足、虚偽その他乙側の事由がある場合は、暫定継続の対象としません。暫定継続期間中の許諾された活動を、遡って無許諾として扱いません。
更新を忘れた人については、受付の猶予期間を置きました。有効期限の翌日から30日間は、失念した場合でも、猶予期間内に電子メールで申し出て、故意の不払いや虚偽の申告などの重大な違反がなければ、更新の受付を認めることができます。ただし受付をしただけでは認定は復活せず、猶予期間を過ぎると失効し、失効中は指導も認定表示もできません。
更新の承認と年会費の支払の順番も、条文で決めておきます。同じ規約では、更新を承認された人は、年会費の支払期限(更新日から1か月以内)までの間も指導と認定表示を続けられる、としました。承認を受けたのに年会費を払わない場合は、催告をしたうえで、なお払わないときに停止・取消しの事由になります。支払期限を過ぎた途端に自動で失効させるのではなく、催告を挟むことで、振込の行き違いのような事務的な遅れで認定を失うことを防いでいます。更新・停止・取消し・終了があったときは、その効力の発生日と認定の状態を電子メールで通知し、登録情報に反映する、と書いておけば、本人も事業者も、いつから何が変わったのかを同じ記録で確かめられます。
失効した後の復帰(事務所の認定講師規約の例)
失効から1年以内
- 必要なこと
- 復帰の申請と、復帰後1年分の年会費の支払
- 求めないこと
- 失効していた期間の年会費、失効した年度の継続学習の不足分
失効から1年超
- 必要なこと
- 上記に加えて、学び直しの講座(リフレッシャー講座)の修了
- 求めないこと
- 再認定試験。復帰の申請に期限はなく、手数料もない
復帰の後
- 有効期間
- 復帰日から1年。以後は復帰日を基準にした1年ごと
- ランク
- 失効前のランク(依頼者の回答にない事務所の提案として採否を確認)
復帰しても、失効していた期間中の無許諾の活動が遡って許諾されるわけではない、と明記しました。
この復帰のルールは、版を重ねて変わった部分です。当初の案では「失効から1年以内は再試験不要、1年を超えたら有料の再認定試験」としていましたが、依頼者の回答で「1年を超えたら学び直しの講座の修了とし、再認定試験は設けない」に変わりました。試験で振り落とすより、学び直しの機会を用意して戻ってきてもらう方が制度の趣旨に合う、という依頼者の判断です。別の制度では、退会や失効の後の再入会を承諾制とし、再審査と再認定試験を求め、過去の認定の履歴と通算しない、という書き方も見られます。どちらを採るかは、制度が「戻りやすさ」と「厳格さ」のどちらを重く見るかで決まります。
ランクと昇格:変わるのは「担当できる仕事」だけ
認定の後に複数の段階(ランク)を設ける制度もあります。事務所の認定講師規約の例では、最初のランクは認定の付与と同時に与え、指導時間や動画視聴の基準は設けない(依頼者の回答で確定)としました。上のランクへは、指導時間と指定動画の視聴の基準を満たしたうえで、年2回の昇格審査に合格し、事業者が電子メールで承認した時に効力が生じます。基準の時間に達しただけで自動的に昇格したことにはしません。
- 指導時間は、実際に指導した時間で数える。グループ指導でも人数を掛けず、同じ時間帯の重複計上は認めない。
- 昇格の基準となる指導時間は、認定日以降の指導だけを算入する。受講の前や受講中の実習の時間は算入しない。
- 生徒数・売上・指導場所は昇格の基準にしない。
- ランクによって教えられる内容の範囲は変わらず、変わるのは法人研修・派遣・集中講座の担当資格だけ(認定講師の活動範囲)。
- 将来、審査の評価指標を導入するときは、内容・理由・効力発生日を事前に通知し、変更の条の手続による。
ランクで教えられる内容まで変えると、下のランクの人が何を教えてよいかを毎回確かめる必要が生じ、制度が複雑になります。この案件では、教える内容は全員同じとし、ランクは「事業者から依頼する仕事の担当資格」に限ったことで、表示のルール(称号)と活動のルールを単純に保ちました。
実績の報告と公式サイトへの掲載
更新と昇格の審査は、認定講師からの報告を材料にします。報告の仕組みが重すぎると誰も出さなくなり、軽すぎると審査ができません。事務所の認定講師規約の例では、指導を行うたびに、実施日、指導の形式、対象の区分、指導時間、人数(新しく指導を始めた生徒の人数を含む)などを所定の様式で報告し、それとは別の定期報告は設けない、としました。更新の時は、これとは別に継続学習の申告を行います。
- 重複・架空・実際と異なる実績を報告してはならない。疑義があれば資料や説明を求められるが、生徒の個人情報の提出は必要最小限にする。
- 生徒の氏名・連絡先・映像は、必要な法的根拠がある場合を除き、実績報告に含めない。報告は人数などの集計情報を原則とする。
- 重大な事故、ハラスメント、個人情報や教材の流出、事業者の信用や権利に関わる苦情が起きたときは、速やかに連絡し、事実関係と対応を報告する。人身の安全と被害の拡大防止を優先する。
- 報告のシステムや様式を変えるときは、事業者が移行の方法を事前に案内し、合理的な移行期間を設ける。
新しく指導を始めた生徒の人数を報告させるのは、昇格の審査のためだけではありません。この制度では、生徒一人につきテキストを1冊購入させる決まりがあり、まとめ買いの冊数と、報告された新しい生徒の人数を照らし合わせて確認する仕組みにしています(教材の使わせ方)。報告の項目は、何の確認に使うのかを決めてから選びます。
認定講師の名簿を公式サイトに載せる場合も、条を置いておきます。同じ規約では、本人の同意を得て、氏名、認定番号、有効期限、プロフィールの写真と文章、SNSのリンクを掲載できるとし、本人は掲載を辞退でき、辞退だけを理由に認定や更新を拒まれない、としました。失効・停止・取消しのときは、現在も有効な認定講師と誤認されないよう、掲載の停止・削除又は状態の明示を行います。プロフィール作成の支援を別料金で用意する場合は、年会費に含まれず、認定の必須条件でもないこと、提供の範囲と支払の条件を申込み前に案内することを書いておくと、更新のたびに「必須なのか」と聞かれずに済みます。
ヒヤリングの問いと理由 有効期間と更新
有効期間は付与日から1年ですか。更新は全員同じ月ですか、各人の付与日基準ですか。
更新の事務と年会費の請求時期が決まります。
年会費(更新料)の金額、支払方法と期限、請求のタイミングを教えてください。
年会費の条と、受講者向けの規約に書く水準の表示を決めます。
更新の条件(申請の時期、必要な報告、継続学習の要否、保険加入の要否)のお手持ちの案があれば添付してください。
依頼者の案を土台に、記録の保存や虚偽申告の禁止を加えて条文にします。
更新を忘れた場合、猶予期間は何日ですか。猶予期間中に教えてよいですか。失効後に戻る方法はどうしますか。
失効と復帰のルールは、最も問合せが多い部分です。
更新料を受け取った後に認定を取り消した場合、返金はしますか。
取消しの原因が本人の違反か、事業者側の事情かで分けて書くことを提案しています(認定の停止・取消し)。
よくあるご質問
認定資格に有効期限を付けたほうがよいですか?
制度の品質を保つためには、何らかの見直しの仕組みが必要です。有効期間を定めずに随時見直す型、各人の認定日から1年ごとに更新する型、受講契約の期間と一致させる型があり、継続学習や年会費を毎年確かめたい制度では1年更新型がなじみます。
年会費を後から値上げできますか?
変更の手続を規約に定めておけば可能ですが、すでに支払われた年度に同意なく追加で請求することはできないと書いておくべきです。更新時に新しい金額を適用する場合は、本人が続けるかどうかを判断できる時期に、事前に通知します。
更新を忘れていた認定講師から連絡がありました。どうすればよいですか?
規約に受付の猶予期間(例えば有効期限の翌日から30日)を置いていれば、その期間内の申出は更新の受付を認めることができます。猶予期間を過ぎて失効した人には、復帰の申請と年会費、一定期間を超えた人には学び直しの講座の修了を求める、といった復帰のルールを定めておきます。
更新の条件に「年間○時間以上の指導」を入れてもよいですか?
入れることはできますが、事務所が作成した規約では、指導の機会は事情によって大きく変わることから、指導時間を更新の条件にせず、継続学習(例えば年間20時間)で能力の維持を確かめる設計にしました。指導の実績は昇格の基準で評価しています。
事業者側の審査が遅れて、有効期限を過ぎてしまったら?
本人が期限内に必要な申告をしていたのに事業者の都合だけで通知が遅れた場合は、可否を通知するまで従前の範囲で活動を続けられる、と規約に書いておくことをお勧めします。審査の遅れによる年会費の支払の遅れを不払いとして扱わないことも明記します。
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