資格スクールのプライバシーポリシー:名簿・成績・試験動画・未成年の保護者同意

資格スクールの個人情報は、申込みの名簿から、成績、試験の動画、認定者の公開まで、受講の流れの中で増えていきます。流れに沿って、ポリシーに何を書くかを整理します。

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このページの要点

  • 情報を「入口・受講中・試験と認定・修了後」の流れで棚卸しし、利用目的を受講の運営、試験・認定、広報の三つに分けて書く。
  • 成績や試験データは、規約で採点理由を開示しないと書いても、保有個人データの開示請求(33条)が消えるわけではない。請求を受ける前提で保存と判断の流れを決める。
  • 試験動画や認定者名簿の公開は、審査とは別の目的として、断っても不利益にならない任意の同意で扱う。
  • 未成年は、契約(民法5条、18歳未満)と個人情報の同意(個別判断)を分けて考え、「提供したから同意とみなす」と書かない。成人した受講者の成績を保護者に伝えるには本人の同意が要る。

結論:スクールのプライバシーポリシーは「名簿・成績・動画・未成年」の4つの流れから書く

資格スクールや養成講座のプライバシーポリシーは、ホームページ用のひな形をそのまま置いても、肝心なところが抜けます。スクールが扱う情報は、氏名や連絡先だけではありません。受講者名簿、出席や課題の記録、試験の点数と合否、実技試験の提出動画、オンライン試験の監督映像、修了や認定の記録、そして18歳未満の受講者の場合は保護者の情報まで、受講から修了、認定、更新へと続く流れの中で積み上がっていきます。

結論は4つです。第一に、情報を「入口」「受講中」「試験・認定」「修了後」の流れで棚卸しし、利用目的を別々に書くこと。第二に、成績や試験データは、規約で「採点理由は開示しない」と書いても個人情報保護法上の開示の請求は消せないので、請求を受ける前提で保存と開示の線を決めること。第三に、試験動画や認定者名簿の公開は、審査とは別の目的として別の同意で扱うこと。第四に、未成年は、契約の問題(民法)と個人情報の同意の問題を分け、「情報を出したから保護者の同意があったとみなす」と書かないことです。

契約書や規約の側の話は、養成講座の受講契約書と修了と認定試験の規約のページで扱っています。このページは、公開する「プライバシーポリシー」の側に絞ります。

スクールが扱う情報を、受講の流れで棚卸しする

ポリシーを書く前に、どの場面でどんな情報が集まるのかを書き出します。棚卸しをせずに他社のポリシーを写すと、取得していない情報が並び、取得している情報が書かれない食い違いが起きます。

スクールの情報の流れ(一般的な例)

  1. 入口問い合わせ、説明会の申込み、受講の申込み。氏名・連絡先・生年月日・職業のほか、決済に関する情報や、18歳未満なら保護者の情報が加わる。
  2. 受講中出席、視聴履歴、課題の提出物と添削、質問の記録、実技の撮影、グループ学習での発言。
  3. 試験・認定点数と合否、再試験の履歴、実技の提出動画やオンライン監督の映像、本人確認の資料、認定の付与と取消しの記録。
  4. 修了後修了証と認定証の発行記録、更新の申告、継続学習の時間、年会費の支払、認定者として公開する情報。
  5. 終わりの扱い退会や失効の後に、何を残し、何を消すか。再発行や有効性の確認に必要な最小限の記録を残す設計。

流れの全体は、認定制度を持つ講座の書類の全体像のページ(認定講師規約と受講契約の役割分担)とあわせて確認すると、ポリシーの利用目的を書く場所が見えます。

棚卸しの結果は、次のような表にまとめておくと、後の作業が楽になります。

情報の種類ごとの整理表(一般的な例)
情報取得する場面よく見られる利用目的注意する点
氏名・連絡先・生年月日受講の申込み契約の履行、連絡、本人確認、修了証の発行生年月日は年齢確認の必要があるときだけ。不要なら取らない
課題・添削・出席の記録受講中学習管理、修了の判定修了や認定の判断に使うなら、その旨も目的に書く
点数・合否・再試験の履歴試験・認定合否の判定と通知、再試験の管理、認定の付与開示の請求を受け得る。保存期間と開示の線を決める
実技の提出動画・監督映像試験・認定審査、不正の防止宣伝への利用は別目的。映り込む第三者にも注意
健康・配慮に関する申告試験の受験上の配慮、実技配慮の実施、安全の確保病歴にあたり得る。取得にあらかじめ同意が必要
保護者の情報18歳未満の申込み同意の確認、連絡、請求の対応保護者が支払者のとき、成人後の成績の共有は別の整理
認定者として公開する情報認定の付与後認定者の確認、紹介公開の項目を本人が選べるようにし、失効で削除する

表は例です。取得していない情報の行は消し、取得している情報を足します。

利用目的は、成績の管理・認定・広報を分けて書く

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うにあたって、利用目的をできる限り特定しなければなりません(個人情報保護法17条1項)。あらかじめ本人の同意を得ないで、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うこともできません(18条1項)。スクールのポリシーでは、この「特定」が甘くなりがちです。「サービスの提供のため」の一言で、成績の管理も、認定の審査も、認定者名簿の公開も、受講者の声の掲載も済ませてしまう書き方です。

特定は、本人が「自分の情報がこういう場面で使われる」と想像できる粒度で行います。スクールの場合、目的を次の三つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

利用目的の三つのまとまり

受講の運営

例
申込みの受付、受講の案内、出席・課題の管理、質問への回答、修了の判定と修了証の発行
同意
契約の履行に必要な範囲。ポリシーの公表と申込み時の明示で足りる場面が多い

試験・認定の管理

例
試験の実施、合否の判定と通知、再試験の管理、認定の付与・更新・停止・取消しの手続、認定の有効性の確認
同意
審査に使う範囲は目的に書く。取消しの判断に刑事事件の情報を使うなら取得の同意が必要

広報・紹介

例
合格者や認定者の紹介、受講者の感想の掲載、試験動画の宣伝利用、認定者名簿の公開
同意
審査の目的とは別。別の同意として、断っても不利益にならない形で取る

三つ目は、受講や認定の条件にしない任意の目的として扱うのが基本です。

本人から直接、契約書や申込みフォームなどの書面(電磁的記録を含みます)に記載された個人情報を取得する場合は、あらかじめ利用目的を本人に明示しなければなりません(21条2項)。申込みフォームの入力欄の近くや送信ボタンの手前に、ポリシーへのリンクと主な利用目的を置く方法が使われます。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は除かれます。利用目的を変えた場合は、変えた後の目的を本人に通知するか公表しなければなりません(21条3項)。変更は、変更前の目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行えません(17条2項)。

この17条2項の枠が問題になるのは広報目的の追加です。受講の運営のために集めた動画を後から宣伝に加えるのは、関連性の範囲を超えると見られやすいため、取得の時点で広報を別立てで書き、任意の同意を取っておくほうが簡単です。

条文例認定者の情報の掲載(ポリシーまたは認定規約に置く条文の例)
  1. 当スクールは、認定を受けた方(以下「認定者」といいます。)の氏名、認定の区分、認定日、有効期限を、認定者であることを確認できるようにするため、当スクールのウェブサイトに掲載することがあります。
  2. 前項のほか、認定者の所在地域、連絡先、紹介文その他の情報を掲載するときは、掲載する項目を認定者に示し、認定者が項目ごとに選択した範囲に限ります。
  3. 認定者は、掲載の項目の変更又は掲載の中止を、いつでも当スクールに求めることができます。当スクールは、求めを受けたときは、当スクールが管理するウェブサイトからの掲載を合理的な期間内に改めます。
  4. 認定が失効し、停止され、又は取り消されたときは、当スクールは、前二項の掲載を改めます。ただし、認定の事実と期間を確認するために必要な最小限の記録は、保存します。

失効後の記録は見落とされがちです。ポリシーに「認定の事実の確認のために最小限の記録を残す」と書いていなければ、削除を求められたときに何を残してよいか説明できません。手続の側は認定の停止・取消しの手続のページにあります。

成績・試験データ・動画は、開示の請求を受ける前提で扱う

スクールの情報で、もっとも「規約に書けば足りる」と誤解されやすいのが、成績と試験のデータです。たとえば、規約に「不合格の詳細な採点理由は開示しません」と書く運用は、合否の通知の範囲を定める契約上の約束としては成り立ちます。一方で、個人情報保護法は別の層で、本人に権利を与えています。

本人は、個人情報取扱事業者に対し、本人が識別される保有個人データの開示を請求できます(33条1項)。保有個人データとは、事業者が開示、訂正、利用の停止、消去などを行う権限を持つ個人データです(16条4項)。点数、合否、評価のコメント、提出物の添削は、本人が識別される形で管理されていれば、この保有個人データに当たり得ます。請求を受けた事業者は、遅滞なく開示しなければならず、例外として開示しないことができるのは、本人や第三者の権利利益を害するおそれがある場合、事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、他の法令に違反することとなる場合に限られます(同条2項各号)。開示しない旨の決定をしたときは、本人に遅滞なく通知しなければなりません(同条3項)。

ここで、採点の基準や、他の受験者との比較に使う内部資料などが「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれ」に当たるかは、個別の事情で決まります。一律に当たると書けるものではありません。規約の「開示しない」の約束と、法律上の開示の請求は別々に動くと考え、請求が来たときに、どの記録を、どの範囲で、誰が判断するのかを決めておきます。

成績・試験に関する請求への対応の整理(一般的な見方)

  • 可本人が自分の点数と合否を知りたいと求める本人が識別されるデータの開示の請求として扱える。本人確認をして、点数と合否は開示する運用が自然
  • 条件付き採点者のコメントや添削の記録を求める本人が識別される保有個人データなら対象になり得る。第三者の権利利益や業務への支障が具体的にあるかを個別に判断する
  • 不可他の受験者の点数や氏名を求める他人の個人情報が含まれる。本人のデータだけを分けて開示する
  • 条件付き内容が事実と違うので直してほしいと求める内容が事実でないときの訂正の請求(34条)。計算違いや記録の誤りの訂正に応じる運用とつなぐ

「可」「条件付き」などの区分は整理の便宜です。個別の判断は、請求の内容と記録の状況によります。

修了と認定の規約で「審査の専門的判断への異議の制度は設けないが、計算違いなど事務上の誤りの照会は受け付ける」と整えておくと、この訂正の請求ともつながります。規約側の書き方は修了と認定試験のページにまとめています。

実技の提出動画とオンライン試験の監督映像

実技の試験を動画で提出させるスクールや、自宅受験を画面越しに監督するスクールでは、動画や映像が個人情報になります。顔や声が映れば、それだけで特定の個人を識別できることが多いためです。これらは、取得の時点で次の点を決めておきます。

  • 目的の線引き。審査と不正の防止のための取得と、宣伝への利用は別の目的です。宣伝に使う場合は、審査の同意とは別の、断ることができる任意の同意にし、断っても認定で不利益に扱わないと書きます。
  • 保存期間。再試験や照会に備えて一定期間は残しても、「念のため無期限」は避けます。個人データは、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めなければなりません(22条)。
  • 閲覧できる人。審査を担当する講師と事務局に限るのか、講師には外部の人がいるのかを決めます。外部の講師が見るなら、講師との契約に秘密保持の条項が必要です(外部講師との業務委託契約書のページ参照)。
  • 映り込む第三者。自宅や教室で撮ると、家族や、実技の相手役の生徒が映ることがあります。本人以外の人が映る場合は、本人がその人(未成年なら保護者も)の了解を得てから提出する、と提出の条件に書きます。
条文例成績・試験データの取扱い(ポリシーに置く条文の例)
  1. 当スクールは、受講者の出席、課題、点数、合否、再試験の履歴その他の学習及び試験に関する情報を、受講の運営、修了及び認定の判定、並びに本人への通知のために利用します。
  2. 当スクールは、試験のために提出を受けた動画及び試験の監督のために取得した映像を、審査及び不正の防止のためにのみ利用します。宣伝その他の目的に利用するときは、あらかじめ目的を示して、受講者の任意の同意を得ます。同意をしないことを理由として、修了、合否、認定その他について不利益に取り扱うことはありません。
  3. 前項の動画及び映像の閲覧は、審査を担当する者及び事務局の担当者に限ります。
  4. 受講者は、自己の点数及び合否その他の保有個人データについて、第○条に定める手続により、開示、訂正その他の請求をすることができます。当スクールは、法令に従って対応します。
  5. 前各項の情報は、修了又は認定の事実を後日確認するために必要な最小限の記録を除き、受講の終了から別表に定める期間が過ぎたときに、消去します。

「別表に定める期間」は、情報の種類ごとに、運営に合わせて決めます。期間を決めずに「必要な期間」とだけ書くと、請求を受けたときに説明ができません。

未成年の受講者と保護者:契約の同意と個人情報の同意を分けて考える

資格スクールの受講者には、高校生や専門学校、大学に通う年代の人が含まれます。ここで、二つの別の問いが混ざりやすくなります。一つは「受講契約をその本人が単独で有効に結べるか」、もう一つは「個人情報の取得や利用に、保護者の同意が必要か」です。

契約のほうは、民法が定めています。成年は18歳で(民法4条)、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意なしにした法律行為は取り消すことができます(5条1項・2項)。ただし、単に権利を得、または義務を免れる行為は除かれます。受講料を支払う受講契約は、受講者が義務を負う契約ですから、18歳未満の人が保護者の同意なしに結べば、取り消される可能性があります。したがって、18歳未満の受講者については、受講契約の側で保護者の同意の確認や、保護者の署名を取る設計を置くのが基本です。

個人情報のほうは、個人情報保護法の条文に、保護者の同意が必要な年齢を直接定めた規定は見当たりません(現行の条文)。令和8年7月に個人情報保護法等の改正法が公布されており、本体部分は公布から2年を超えない範囲で政令で定める日に施行されます。子どもの個人情報の扱いに関する見直しが含まれるため、施行の前後で取扱いが変わらないか、個人情報保護委員会の公表資料で確認します。個人情報保護委員会のよくある質問(Q&A)は、同意をしたことによって生ずる結果を判断できる能力を有していない子どもについては法定代理人等から同意を得る必要があるとし、その年齢は対象となる情報や事業の性質などによって個別に判断すべきで、一般的な目安としては12歳から15歳までの年齢以下の子どもと考えられる、という趣旨を示しています。つまり、契約は18歳未満で、個人情報の同意は個別の判断、と基準が重ならないのです。

年齢と手当ての考え方(整理の例)

目安の年齢以下の子ども

契約
保護者の同意と署名が必要
個人情報
保護者から同意を得る。連絡も原則として保護者宛て

それ以上18歳未満

契約
保護者の同意が必要(民法5条)
個人情報
本人の意向を確認しつつ、情報の種類によっては保護者の同意もあわせて得る

18歳以上

契約
本人が単独で結べる
個人情報
本人の同意。保護者が支払う場合でも、成績などの共有は別途の同意が必要

よく見られる書き方に、「未成年者が個人情報を提供した場合は、保護者の同意を得ているものとみなす」というものがあります。これは、同意の確認を事業者がしないまま、同意があったことにする書き方です。事業者が確認の手続を持たない以上、保護者の同意があったことの根拠にはなりません。また、「保護者の同意なく提供された場合も、当社は一切の責任を負わない」と続ける例もありますが、消費者向けの契約で事業者の責任を全部免除する条項は、無効とされる類型に当たります(消費者契約法8条1項)。

書き方の例(一般的な例) 未成年の受講者の個人情報

同意の扱い

よくある書き方

「未成年者が本サービスを利用し個人情報を提供した場合、当該未成年者は保護者の同意を得ているものとみなします。」

整えた書き方

「18歳未満の方が申し込むときは、申込みの手続の中で、保護者の氏名・連絡先・同意の意思を入力していただきます。当スクールは、保護者に確認の連絡をし、同意が確認できるまでは、受講を開始しません。」

ねらい「みなす」で済ませず、確認の手続を作る。確認までは受講を始めないと書けば、運営の流れも明確になる。

もう一つ、スクールに特有の論点があります。成人した受講者の成績や出席の状況を、受講料を負担している保護者に報告してよいか、という問題です。受講者が18歳以上であれば、保護者も、スクールにとっては第三者です。個人データを第三者に提供するには、原則としてあらかじめ本人の同意が必要ですから(27条1項)、保護者への成績の報告は、本人の同意があって初めて可能になります。この同意は、申込書に保護者の欄を設けるだけでは足りず、「成績・出席の状況を保護者に知らせてよいか」を、項目として分けて確認するのが適切です。同意しないことを理由に、受講を断らない運用にしておけば、任意の同意として説明がつきます。

条文例未成年の受講者と保護者への連絡(ポリシーに置く条文の例)
  1. 18歳未満の方が受講を申し込むときは、保護者(親権を行う方)の同意が必要です。当スクールは、申込みの手続の中で保護者の同意を確認し、確認ができるまで受講を開始しません。
  2. 18歳未満の受講者の個人情報は、保護者の同意を得て取得し、第○条に定める目的の範囲で利用します。受講者の写真・動画その他の個人を識別できる情報を広報に利用するときは、受講者が一定の年齢以上であるときは受講者の意向も確認したうえで、別に保護者の同意を得ます。
  3. 18歳以上の受講者の成績、出席その他の学習の状況は、受講者の同意がある場合を除き、保護者その他の第三者に知らせません。受講者が同意するときは、知らせる内容と相手方を、当スクール所定の方法で示していただきます。
  4. 保護者の同意は、将来に向かって撤回することができます。撤回の連絡を受けたときは、広報への利用を速やかに止めます。

第2項の「一定の年齢」は運営の方針で決めます。

講師・協会・派遣元の企業・システム会社に渡すときの整理

スクールの情報は、スクールの中だけにとどまりません。講義を担当する外部の講師、試験を実施する協会、受講料を負担して社員を派遣する企業、学習システムや動画配信のサービス、決済の事業者へと渡っていきます。渡し方が、第三者への提供なのか、委託なのか、共同利用なのかによって、必要な手当てが違います。

渡す相手ごとの整理(一般的な例)
渡す相手整理の筋道必要な手当て書く場所
外部の講師講義や添削を任せるなら、利用目的の達成に必要な範囲での委託として整理できる場合が多い(27条5項1号)委託先の監督(25条)、閲覧の範囲、終了後の消去、秘密保持講師との契約書、ポリシーの委託の項
試験を実施する協会協会が自らの目的で受験者の情報を使うなら、第三者への提供。運営が一体で共同して使うなら共同利用本人の同意、または共同利用の通知(項目・範囲・目的・責任者)ポリシー、申込みの同意欄
受講料を負担する企業企業に成績や修了を報告するのは第三者への提供申込みの時点で、報告する項目と相手を示した本人の同意申込書、企業との契約書
学習システム・動画配信データの取扱いを任せる委託委託先の監督、漏えい時の通知、データの返還と消去、外国のサーバーかポリシー、システムの利用契約

整理の筋道は一般的な見方です。実際の契約の内容や、データの流れによって変わります。

共同利用は、特定の者との間で共同して利用される個人データを、その特定の者に提供する場合で、あらかじめ、その旨、共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的、管理について責任を有する者の氏名又は名称及び住所(法人にあっては代表者の氏名)を、本人に通知するか、本人が容易に知り得る状態に置いているときに成り立ちます(27条5項3号)。ポリシーに「共同利用する場合があります」とだけ書いて、項目や範囲を空けておく例が見られますが、それでは共同利用の要件を満たしません。協会と関連の会社が運営上一体であるときの個人データの整理は、協会の会員規約と認定資格のページで詳しく扱っています。

企業が社員を派遣する研修は、企業研修の契約書のページのとおり、企業との契約の側でも名簿や成績の扱いを決めます。

外国のサービスを使うときは、もう一つの整理が加わります。外国にある第三者に個人データを提供する場合は、原則としてあらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が必要で(28条1項)、同意を得ようとするときは、その外国における個人情報の保護に関する制度などの情報を本人に提供しなければなりません(同条2項)。ただし、この条には、個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備している者などの例外があります。どの場合に当たるかは、サービス提供者の体制の確認が前提です。

よくある失敗と直し方

スクールのプライバシーポリシーには、いくつかの典型的な書き間違いがあります。以下は、実務で多く見られる書き方と、その直し方です。

書き方の例(一般的な例) スクールのプライバシーポリシー

法令の条番号

よくある書き方

「開示等の請求は、個人情報保護法第28条から第30条の定めに基づき対応します。」「委託先の管理は第22条に基づき行います。」

整えた書き方

「開示は33条、訂正等は34条、利用停止等は35条、委託先の監督は25条、安全管理措置は23条」など、現行の条番号に合わせる。条番号を書かない書き方にしてもよい。

ねらい法改正で条番号が動いている。古い番号のままだと、規約を読む人が条文を確かめたとき、全く別の条が出てくる。

同意のみなし

よくある書き方

「本講座に申し込んだ時点で、本ポリシーに同意したものとみなします。」「変更後に利用を続けたときは、変更に同意したものとみなします。」

整えた書き方

利用目的は申込みの時点で明示する。重要な変更は、効力発生の前に周知する。広報など別の目的が増えるときは、あらためて任意の同意を取る。

ねらい利用目的の明示(21条)と同意の取得(18条)は別の手続。「みなし」では目的外の利用の根拠にならない場合がある。

法律上の例外の写し

よくある書き方

「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合は、本人の同意なく提供することがあります。」を、受講者向けのポリシーに並べる。

整えた書き方

例外の規定を並べず、「法令に基づく場合を除き、あらかじめ同意を得ずに提供しません」と書く。実際に想定する例外(裁判所からの照会など)があれば、それだけを書く。

ねらい法律の例外をそのまま並べると、成績や住所を同意なしに出す場面が広いように読まれる。想定していない例外は書かない。

統計・加工の言葉

よくある書き方

「統計的に処理し、特定の個人を識別できない形式に加工した匿名加工情報は、同意なく提供することがあります。」

整えた書き方

個人が特定されない集計(人数や平均点など)は、そのように書く。匿名加工情報という言葉を使うなら、作成したときの項目の公表や、提供するときの公表と明示(43条3項・4項)の対応まで確認する。

ねらい「匿名加工情報」は法律上の定義があり、加工の基準と公表の義務が伴う。集計の話に使うと、義務の対応が追いつかなくなる。

共同利用・窓口

よくある書き方

「共同利用する場合があります。詳細は別途公表します。」問い合わせ窓口に、メールアドレスだけを書く。

整えた書き方

共同利用は、項目・範囲・目的・責任者を書く。窓口には、事業者の名称、住所、法人は代表者の氏名、開示等の手続を書く(32条1項)。

ねらい共同利用の要件(27条5項3号)と、保有個人データに関する公表事項(32条1項)は、ポリシーに具体的に書いてはじめて満たされる。

これらの失敗は、規約と並べて読むと気づくものが多いのも特徴です。規約で視聴履歴を修了の判定に使うと書いているのに、ポリシーの利用目的に修了の判定がない、といった食い違いです。規約、申込みフォーム、ポリシーの三つを同じ日に見直すと予防になります。

責任の書き方にも注意が要ります。外部のサービスに起因する漏えいについて、「原因のいかんを問わず一切の責任を負わない」とする例がありますが、消費者向けの契約では、事業者の債務不履行による責任の全部を免除する条項は無効とされます(消費者契約法8条1項1号)。上限を設ける場合は、故意又は重大な過失による場合を除くことを、上限を定めるその一文の中に明示します(同条3項)。

ヒヤリングで確認すること、起きがちなこと

ポリシーを整えるときは、文面を書き始める前に、実際の運営を確認します。次の問いに答えられれば、ポリシーの骨格はほぼ決まります。

確認しておきたい問いと理由 プライバシーポリシーを書く前に

  1. 受講者の情報は、申込みフォーム、LINE、メール、学習システムのうち、どこに、誰が入力していますか。

    取得の窓口ごとに、利用目的の明示の場所が変わります。窓口が複数あるのに、ポリシーへのリンクが一か所だけだと、明示が足りない窓口が出ます。

  2. 試験の点数、合否、添削のコメントは、どこに、誰が、いつまで保管していますか。

    開示の請求を受けたときの対応と、消去の時期を決める出発点です。担当者の個人のパソコンに点数が残っていると、請求への対応も消去も追いつきません。

  3. 試験の動画や監督の映像は、誰が見ますか。宣伝に使う予定はありますか。

    審査の目的と宣伝の目的を分ける必要があるかの確認です。閲覧者に外部の講師がいるなら、講師との契約にも影響します。

  4. 18歳未満の受講者はいますか。保護者が申込みや支払をしますか。

    保護者の同意の確認の手続と、保護者への連絡の範囲を決めるためです。支払者が保護者でも、18歳以上の本人の成績の共有は同意が別に必要です。

  5. 認定者の氏名や連絡先を、ホームページに載せていますか。載せる項目は誰が決めますか。

    認定者の公開は広報の目的として別立てにし、項目を本人が選べるようにする設計が可能かを確認します。失効後の削除の流れも決めます。

回答がそろったら、情報の種類ごとの整理表を作り、その表に沿ってポリシーの利用目的、第三者提供、保存期間の順に反映します。

認定制度を持つスクールでは、修了や認定の判断に使う情報と広報に使う情報を分け、後者を任意の同意として扱うことが、制度への信頼にもつながります。認定後の更新や年会費の扱いは認定講師規約の有効期間・更新・年会費のページにまとめていますので、継続学習の申告を受け付ける場合の情報の扱いと、あわせて確認してください。

よくあるご質問

資格スクールのプライバシーポリシーは、受講規約の中の1か条で足りますか?

1か条では足りないことが多いです。事業者の名称・住所・法人の代表者の氏名、すべての保有個人データの利用目的、開示等の請求に応じる手続(手数料を定めたときはその額を含む)、政令で定める事項を、本人の知り得る状態に置く必要があります(個人情報保護法32条1項)。試験の動画や認定者の公開、未成年の受講者の扱いなど、スクール特有の事項もあるため、規約とは別に、公開用の文書を用意するのが分かりやすい方法です。

規約に「採点理由は開示しない」と書けば、成績の開示請求は断れますか?

規約の約束と、個人情報保護法の請求は別です。本人は、本人が識別される保有個人データの開示を請求でき(33条1項)、開示しないことができるのは、本人や第三者の権利利益を害するおそれがある場合など、同条2項各号に当たる場合に限られます。採点の記録がこれに当たるかは個別の事情で決まりますので、一律に断れると書くのは避け、請求を受けたときの判断の流れを決めておきます。

試験で提出された動画を、合格者の紹介に使ってもよいですか?

審査のために取得した動画を宣伝に使うのは、別の目的です。取得の時点で目的に含めて明示するか、あらためて任意の同意を得る設計にします。断っても認定で不利益に扱わないと書いておくと、同意が任意であることが明確になります。動画に本人以外が映る場合の了解の取り方も、提出の条件に書いておきます。

未成年の受講者について、個人情報の同意は何歳まで保護者から取りますか?

個人情報保護法に年齢を定めた条文は見当たりません。個人情報保護委員会のQ&Aは、年齢は情報や事業の性質などで個別に判断するとし、目安として12歳から15歳までの年齢以下の子どもを挙げています。一方、受講契約は、18歳未満であれば保護者の同意が必要です(民法5条)。契約は18歳未満、個人情報の同意は個別の判断、と二つの基準を分けて、運営の方針を決めます。

受講料を払っている保護者に、成人した受講者の成績を伝えてよいですか?

受講者が18歳以上であれば、保護者はスクールにとって第三者です。個人データを第三者に提供するには、原則としてあらかじめ本人の同意が必要ですので(個人情報保護法27条1項)、申込みの際に、成績や出席の状況を保護者に知らせてよいかを、項目を分けて確認します。同意しなくても受講を断らない運用にしておくと、任意の同意として整います。

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本ページは一般的な情報提供です。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)

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