このページの要点
- 受講料の分割は、学校が自分で受けるか、カード会社か、信販会社かで割賦販売法の型が三つに分かれる。
- 自社分割は、2か月以上・3回以上で、養成講座は「技芸又は知識の教授」に入り得る。当たれば、表示・書面・20日以上の書面催告・請求額の上限がかかる。
- カード分割でも、受講者は学校に生じた事由をカード会社に主張でき、残額の支払義務を定めても実効性がない。
- 開業目的は適用除外になり得るが、実態で決まり、修了後の仕事の紹介を伴う勧誘は例外に当たり得る。
結論:受講料の支払い手段は、「誰が受講者の支払を待つのか」で三つの型に分かれます
資格スクールや養成講座は、受講料が数十万円になることも珍しくなく、受講期間も数か月から1年に及びます。そのため「分割で払いたい」という希望は、多くの事業者に出ます。最初に決めるのは、受講者の支払を待つ(受講者に与信する)のは誰か、です。割賦販売法は、これを手がかりに三つの型を区別し、型ごとに別の規律を置いています。
学校が自分で受講料を回数に分けて受け取る型では、学校自身が「割賦販売」の事業者として、条件の表示や書面の交付、遅れたときの手順を守る立場になります。受講者がクレジットカードで分割やリボ払いを選ぶ型では、受講者の支払を待つのはカード会社ですが、受講者は学校との間に起きたことをカード会社に主張できます。受講者が信販会社と立替払いの契約を結ぶ型では、さらに学校自身も書面を交付する義務を負います。
| 支払い手段の例 | 受講者の支払を待つ者 | 割賦販売法での呼び名 | 学校に関わる主な規律 |
|---|---|---|---|
| 学校が自分で回数を分けて受け取る(決済サービスで毎月課金する場合を含む) | 学校 | 割賦販売(2条1項1号)。対象は政令で指定された役務に限られる | 条件の表示(3条)、契約内容を明らかにする書面の交付(4条)、解除や一括請求の前の書面による催告(5条)、解除したときなどの請求額の上限(6条) |
| 受講者がクレジットカードで分割払い・リボ払い・2か月を超える後払いを選ぶ | カード会社 | 包括信用購入あっせん(2条3項) | 受講者が、学校に生じた事由をカード会社に主張できる(30条の4、リボ払いは30条の5)。この権利を奪う特約は無効(30条の4第2項) |
| 受講者がカードを使わずに、信販会社と立替払いの契約を結ぶ | 信販会社 | 個別信用購入あっせん(2条4項) | 学校も契約内容の書面を交付する(35条の3の8)。抗弁の接続(35条の3の19)。一定の勧誘で不実のことを告げた場合の申込みの取消し(35条の3の13) |
受講料を一括で受け取る場合(銀行振込、カードの1回払い)は、この三つの型のいずれにも当たりません。
見落とされやすいのは、三つの型で「対象になる役務」の範囲が違う点です。学校が自分で分割を受ける型は、割賦販売法施行令の別表第一の三に列挙された「指定役務」だけが対象です。その第11号に「技芸又は知識の教授(第五号から第八号までに掲げるものを除く。)」という包括的な項目があるため、資格や技能を教える養成講座の多くは、ここに入り得ます。一方、カードの分割(包括信用購入あっせん)と信販会社の立替払い(個別信用購入あっせん)の定義は、指定役務に限らず、役務の提供全般を対象に書かれています。つまり、自社で分割を受けなければ割賦販売法と無関係、とは言えません。
また、特定商取引法の「特定継続的役務提供」は、政令で指定された類型に限られ、包括的な項目がありません。養成講座がそれに当たらないと分かっても、割賦販売法の指定役務への当てはめは別に行います。返金の段階設計そのものは養成講座の受講契約(返金・中途解約の段階設計)で扱っています。
学校が自分で分割を受けるとき:2か月以上・3回以上・指定役務
割賦販売法2条1項1号は、役務の対価を「二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領すること」を条件に指定役務を提供することを、割賦販売と定めています。回数と期間の二つが同時に満たされたときに当たります。
養成講座では、受講料のほかにも、教材費、認定の登録料、再試験料、更新料など、時期の違う費用が生じます。場面ごとに見ていきます。
| 場面 | 割賦販売に当たるか | 考え方 |
|---|---|---|
| 開講前と開講後の2回に分ける | 当たらない | 3回以上ではありません。ただし遅延損害金や催告の定めは、消費者契約法などの別の上限に従います。 |
| 3回払いだが、全額を申込みから1か月以内に受け取る | 当たらない設計 | 2か月以上の期間にわたりません。期日の延期や支払の猶予で2か月以上になると当たり得るため、運用で崩れやすい設計です。 |
| 初回は受講開始前、残りを翌月・翌々月の3回払いにする | 当たり得る | 初回から3回目までが2か月前後になります。日付の置き方によって2か月以上と評価され得るので、期間を数え直します。 |
| 毎月1回、6回に分けて決済サービスで課金する | 当たり得る | 回数も期間も満たします。「銀行振込の分割は認めない」と定めていても、決済リンクを分割して発行すれば実質は同じです。 |
| 月ごとの教材費やサポート費を、毎月受け取る | 判断が分かれる | 受講全体の対価を月ごとに分けているのか、月ごとの役務に独立した対価があるのかで見方が変わります。契約の組み立てと実態で評価されます。 |
| 受講料と、修了後に別途払う認定料・年会費 | 別の対価として整理できる | 認定料や年会費は、修了後に生じる別の役務の対価です。ただし受講料の一部を認定料の名目に付け替えて期日をずらすと、実質で見られるおそれがあります。 |
| 修了後に受講料を1回で受け取る(後払い) | 当たらない | 3回以上の分割ではありません。ただし受講料が長く未収になる点と、遅れたときの手順は別に考えます。 |
「当たり得る」とした場面は、事業者が割賦販売の事業者としての手続をとる前提で設計を組みます。養成講座の認定後の費用は有効期間・更新・年会費、再試験料は修了と認定試験の各ページで扱います。
当たる場合に学校がすることは、大きく五つに分かれます。順番に並べると、次のとおりです。
自社分割が割賦販売に当たるときの手続
- 条件を示す(3条)契約の前に、現金提供価格、割賦提供価格、支払の期間と回数、手数料の料率を示します。募集ページなどの広告で分割の条件を示すときも、同じ事項の表示が要ります(3条4項)。
- 書面を渡す(4条)契約を結んだら遅滞なく、割賦提供価格、各回の支払額、支払の時期と方法、役務の提供時期、契約の解除に関する事項などを記した書面を交付します。
- 遅れたら催告する(5条)解除や、期日の来ていない分の一括請求は、20日以上の相当な期間を定めた書面での催告の後にしかできません。これに反する特約は無効です。
- 解除したときの上限(6条1項)開始前の解除は契約の締結と履行に通常要する費用、開始後は提供済みの役務の対価相当額に価格差を加えた額までです。
- 遅延損害金の上限(6条2項)支払が遅れたときの遅延損害金は、法定利率までです。
電子メールで書面に代えて交付するには、あらかじめ電磁的方法の種類と内容を示して、書面又は電磁的方法で承諾を得ます(4条の2、施行令2条)。契約書そのものの中で承諾を取るのではなく、申込みのフォームなど、契約書を送る前の段階で取ります。
ここで重要なのが、価格の考え方です。現金提供価格は、条文上「役務を提供する契約の締結と同時にその対価の全額を受領する場合の価格」です。銀行振込なら割引、カード決済なら手数料込みの額、というように一括払いの価格が複数あると、どれが現金提供価格なのか分からなくなり、分割の価格との差が「手数料」としてどう扱われるかも曖昧になります。自社分割を受けるなら、一括の価格を一つにそろえ、分割の手数料を取るか取らないかを先に決めてから、各書類の価格を合わせます。
催告の「書面」にも注意が要ります。4条の2が電磁的方法による提供に代えられるのは、3条2項・3項と4条各項の書面であり、5条の催告は含まれていません。「書面(電磁的方法を含む。)で催告する」と書いても、5条2項の強行規定との関係で、そのとおりには働かないと考えておくのが安全です。
- 受講者は、当社が認める場合、受講料を別表に定める回数及び時期に分割して支払うことができます。分割払いに手数料はかかりません。
- 当社は、分割払いの契約を締結したときは、遅滞なく、割賦提供価格、各回の支払額、支払の時期及び方法、役務の提供時期、契約の解除に関する事項その他法令の定める事項を記載した書面を、受講者に交付します。
- 受講者が分割金の支払を遅滞したときは、当社は、20日以上の相当な期間を定めて、書面でその支払を催告します。その期間内に受講者が支払わなかった場合に限って、当社は、本契約の解除、又は期限の来ていない分割金すべての請求をすることができます。
- 催告は、受講者が申込書に記載した住所に宛てて行います。受講者は、住所に変更があったときは、遅滞なく当社に届け出ます。
- 分割金の支払の遅滞による遅延損害金は、法定利率によります。
遅延損害金は、年の数字を書かずに「法定利率」とします。民法404条2項は法定利率を年3パーセントとしたうえで、3年を1期として見直すと定めているため(同条3項)、数字を固定すると変動と食い違います。分割に手数料を取る場合は、第1項を改め、手数料の料率の算定方法に合わせて表示します。
カード分割・信販・後払いを使うとき:学校は貸し手ではないが、無関係でもない
受講者が自分のクレジットカードで分割払いやリボ払いを選ぶ場合、学校は受講料を一括で受け取るのが通常です。受講者の支払を待つのはカード会社で、割賦販売法の用語では「包括信用購入あっせん」です。定義(2条3項1号)には、契約を結んだ時から2か月を超えない範囲内の後払いは含まれないというかっこ書きがあるため、翌月一括払いのような短い後払いは、この型から外れます。2か月を超える分割、リボ払い、2か月を超える後払いが対象です。
この型で学校が押さえておくべきことは、「抗弁の接続」です。割賦販売法30条の4は、カード分割などで受講者が購入した役務について支払の請求を受けたとき、役務を提供する事業者に生じている事由をもって、請求するカード会社に対抗できると定めています。たとえば、講座が約束どおり提供されなかった、契約が解除された、といった事情です。この規定に反する特約で受講者に不利なものは無効です(同条2項)。支払総額が政令で定める金額に満たないものは適用されません(同条4項)。リボ払い型にも30条の5による同様の仕組みがあります。具体的な金額の基準は政令で定められているため、受講料が少額の講座では、最新の基準を確認します。
ここから、受講契約に書く内容が変わります。実務では、「分割払いは受講者とカード会社との契約であり、当社は一切関与しない。中途解約しても分割の残額の支払義務は残る」という趣旨の条項が見られます。前半は事実の説明として意味がありますが、後半は、受講者がカード会社に対して持つ主張を、学校の契約書で消そうとする書き方です。30条の4第2項により、そのような特約は受講者に不利なものとして無効になります。学校の契約書でいくら残額の支払義務を定めても、カード会社への支払を拒める場面は残るため、実効性がありません。
カードの分割では、学校は受講者に与信しているわけではありませんが、カード会社から契約内容や提供状況の問合せを受けることがあります。講座の内容と返金のルールを契約書で明確にしておくことが、どの支払い手段でも土台になります。
信販会社の立替払い(個別信用購入あっせん)を使う場合は、学校自身の義務が増えます。契約を結んだときに、役務の種類、受講者の支払総額、各回の支払分の額と時期・方法、役務の提供時期、契約の解除に関する事項などを記した書面を、学校が受講者に交付します(35条の3の8)。信販会社は、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供等契約、業務提供誘引販売個人契約などに係る契約について、契約前に勧誘の状況を調査しなければならず(35条の3の5)、学校には調査に協力する努力義務があります(35条の3の6)。勧誘の際に、支払総額、各回の支払分、役務の内容、提供時期、解除に関する事項などについて不実のことを告げる行為などがあれば、訪問販売や電話勧誘販売の契約に係る信販契約の申込みを、受講者が取り消せる定めもあります(35条の3の13)。信販契約が取り消され、受講契約も初めから無効となる場合には、信販会社は受講者に請求できず(同条2項)、学校は、信販会社から交付を受けた代金の額を信販会社に返還しなければなりません(同条3項)。
ここで問題になるのが、販売の導線です。無料のオンライン個別相談で説明し、その場や後日の連絡で申込みに至る形は、事業者の側から受講者に連絡して勧誘する形になっていると、特定商取引法の電話勧誘販売に当たることがあります(導線ごとの確認が要ります)。信販会社を使う講座で、相談の場での説明(受講料の総額、分割払いの総支払額、解除の条件)が不正確だと、受講契約だけでなく、信販契約の取消しにまで影響します。
決済会社が受講者の代金を立て替え、受講者が後日まとめて決済会社に払う「後払い」が使われることもあります。定義の側から見ると、契約を結んだ時から2か月を超えない範囲内で支払う後払いは、包括信用購入あっせん・個別信用購入あっせんのどちらの定義からも外れています(2条3項1号、同条4項のかっこ書き)。逆に、支払期日が2か月を超えて設定される後払いや、分割できる後払いは、上の型に当たり得ます。後払いの種類は決済会社ごとに仕組みが違うので、申込みの方式と支払期日を、決済会社の規約で確認してから受講契約に書きます。
- 受講者は、クレジットカードの分割払い・リボルビング払い、又は当社が提携する信販会社の立替払いにより、受講料を支払うことができます。分割の回数、手数料及び支払総額は、受講者とカード会社又は信販会社との契約によります。
- 当社は、前項の方法による場合も、受講料の総額、支払方法ごとの価格及び解約に関する定めを、申込みの前に表示します。
- 本契約が解除され、又は無効となった場合の受講料の精算は、第○条(分割払いの受講者の中途解約)によります。当社は、精算の結果をカード会社又は信販会社に通知し、受講者が既に支払った額を超える請求が行われないよう、必要な手続をとります。
- 本条の定めは、受講者がカード会社又は信販会社に対して法令に基づき有する主張を妨げるものではありません。
「当社は一切関与しない」と書くかわりに、関与する範囲(精算の結果の通知)を書きます。第4項は、30条の4第2項・35条の3の19第2項が定める「抗弁を奪う特約は無効」という扱いと矛盾しない形にするためのものです。
途中でやめたときの精算:自社分割には請求額の上限があります
養成講座で最もトラブルになるのは、分割払いの途中で受講者がやめたときです。分割の残りを払う義務があるのか、すでに払った分は返るのか、が争われます。自社で割賦販売をしている場合、契約が解除されたときに学校が請求できる額には、割賦販売法6条1項の上限があります。上限は、解除の時期によって三つの場面に分かれます。
| 場面 | 請求できる上限 | 条文 |
|---|---|---|
| 役務の提供の開始前に解除 | 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額に、法定利率による遅延損害金を加えた額 | 6条1項3号 |
| 役務の提供の開始後に解除 | 提供された役務の対価に相当する額に、割賦提供価格から現金提供価格を引いた額を加え、さらに法定利率による遅延損害金を加えた額 | 6条1項5号 |
| 解除ではなく、賦払金の支払が遅れている | 割賦提供価格から既払いの賦払金を引いた額に、法定利率による遅延損害金を加えた額 | 6条2項 |
損害賠償額の予定や違約金の定めがあっても、この上限を超えて請求できません。
ここで重要なのは、解約手数料の上乗せ枠が、開始後の解除(6条1項5号)にはないことです。特定継続的役務提供に当たる契約に限って、解除によって通常生ずる損害の額を加える枠が別にあります(同項6号)。養成講座が特定継続的役務提供に当たらないなら、自社分割で払う個人の受講者から、「提供済みの対価」以外の名目で解約手数料を取ることは、原則としてできないことになります。「受講料の20パーセントを解約手数料として差し引く」という定めは、自社分割の受講者には、そのままでは働きません。
具体的な数字で見てみます。次の例は、仕組みを説明するための仮の数字です。全12回の講義がある6か月の講座で、現金提供価格が36万円、6回払い(毎月6万円)を自社で受けているとします。分割に手数料を取らない場合は、割賦提供価格も36万円で、価格差はゼロです。
| 場面 | 計算 | 請求できる上限 | 受講者への返金 |
|---|---|---|---|
| 手数料なし・第5回の講義まで提供して解除。3回分(18万円)を支払済み | 36万円×5/12=15万円。価格差は0円 | 15万円(と遅延損害金) | 18万円−15万円=3万円を返金 |
| 分割手数料1万8千円あり(割賦提供価格37万8千円)・同じ時点で解除。3回分(18万9千円)を支払済み | 15万円+価格差1万8千円=16万8千円 | 16万8千円(と遅延損害金) | 18万9千円−16万8千円=2万1千円を返金 |
「提供された役務の対価に相当する額」を回数で按分するか、段階ごとの割付けにするかは、講座の構成に合わせて決めます。ここでは単純に講義回数で按分しました。
2行目のとおり、手数料を取る場合、割賦提供価格と現金提供価格の差額(価格差)は、提供済みの割合に関係なく、全額が上限に加わります。この点を、受講者に有利に、提供済みの割合に応じて按分して加える定めにしておく方法もあります。法律の上限より受講者に有利な定めです。
返金の段階設計との関係も整理しておきます。上位コースの受講料を段階に割り付け、提供済みの段階は返金せず、未提供の段階は返金する設計は、自社分割でも使えます。ただし、割り付けた額が「提供された役務の対価に相当する額」として説明できる必要があります。基礎段階に受講料の大部分を割り付け、早い時期の解除でほとんど返さない設計は、上限の計算で否定されるおそれがあります。申込金(席の確保分)を不返還にしたい場合も、開始前の解除の上限(通常要する費用)に収まる根拠が要ります。段階設計と申込金の書き方は養成講座の受講契約で、違約金の考え方は養成講座・認定講師規約の違約金で扱っています。
認定の停止や取消しで分割の残額を一括請求する条項も、取消しが「解除」に当たるのか賦払金の遅滞なのかで、使える上限が変わります(認定講師の資格の停止・取消し)。
- 分割払いの受講者が受講開始日の前に本契約を解約したときは、当社は、契約の締結及び履行のために通常要する費用として、別表に定める額を超えない額を請求することができます。
- 分割払いの受講者が受講開始日以後に本契約を解約したときは、当社は、提供済みの講義等に対応する受講料の額(別表の割付けによります。)に、割賦提供価格から現金提供価格を控除した額を加算した額を超えない範囲で請求することができます。当社は、解約手数料その他の名目による金額を加算しません。
- 受領済みの金額が前二項の額を上回るときは、当社は、その差額を返還します。
- 受講者の支払が遅滞したときは、当社は、前各項の額に法定利率による遅延損害金を加えて請求することができます。
別表には、段階または講義回数ごとの割付額と、開始前の費用の額を載せます。第2項の「その他の名目による金額を加算しません」は、解約手数料の上乗せ枠がないことを受講者に分かるようにするための一文です。
開業を目指す受講者・法人名義の申込みは、適用除外になるのか
養成講座の受講者は、修了後に講師として開業することを考えている人が多くいます。そこで、「事業のために受講するのだから、割賦販売法は適用されない」という整理をしたくなります。たしかに、割賦販売の規定(同法第2章)は、申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結する契約には適用されません(8条1号)。包括信用購入あっせんと個別信用購入あっせんの章にも、同じ趣旨の適用除外があります(35条の3の60第1項1号・第2項1号)。
ただし、三つの点に気をつけます。第一に、適用除外になるかどうかは、申込書の「事業のために申し込みます」という一文では決まりません。契約の実態として、営業のために又は営業として締結するのかが問われます。まだ開業の予定が具体的でない人、趣味や学び直しとして受講する人まで、一律に外れるとは言えません。第二に、法人名義で申し込んだというだけで外れるわけではありません。企業が従業員を受講させる場合は事業のための契約といえますが、個人が自分の費用を法人口座から払うだけの場合は、実態を見ます(企業研修の契約書)。
第三に、最も重要な例外があります。業務提供誘引販売業に係る取引の契約のうち、提供・あっせんされる業務を事業所その他これに類する施設によらないで行う個人との契約は、営業のための契約でも、適用除外から外れます(8条1号のかっこ書き、35条の3の60第1項1号・第2項1号のかっこ書き)。修了後に学校自身が仕事を紹介する、講師として登用する、といった説明を伴う勧誘は、業務提供誘引販売取引に当たり得ます。自宅で働く個人が「事業のつもり」で受講しても、この場合は割賦販売法の規定が及びます。「認定講師になれば仕事がある」という勧誘の問題は養成講座の受講契約で整理しています。
よくある失敗と直し方
受講契約書の分割払いの条を見ると、同じような書き方が繰り返し現れます。次の表は、実務でよく見られる書き方と、整えた書き方の対応です。
書き方の例 分割払いの条項
期限の利益の喪失
「分割金の支払を1回でも怠ったときは、当然に期限の利益を失い、残額を直ちに支払う」という定めが見られます。
自社分割が割賦販売に当たる場合は、20日以上の相当な期間を定めた書面による催告を経てからにします。
ねらい期限の利益とは、分割で払ってよいという受講者の利益のことです。割賦販売法5条2項は、催告を経ない特約を無効としています。
遅延損害金
「支払期日の翌日から完済まで年14.6パーセントの遅延損害金を支払う」と固定します。
「法定利率による」と書きます。
ねらい年14.6パーセントは、消費者契約法9条1項2号が定める、一般の消費者契約の上限です。割賦販売では、6条2項により法定利率が上限になるため、一般の上限より低くなります。
カード分割の切り離し
「分割契約はカード会社との契約であり、当社は関与しない。解約しても残額の支払義務は残る」と書きます。
契約の相手方の説明と、学校が行う精算の通知にとどめ、「法令に基づく主張を妨げない」と書き添えます。
ねらい30条の4第2項により、抗弁を奪う特約は無効です。残額の支払義務を書くより、精算の算式を受講契約に置く方が、紛争の予防になります。
分割払いの受講者の解約
「分割払いを選択した場合は、キャンセル後も既払金は返金せず、未払分もキャンセル料の範囲で支払う」と書きます。
自社分割なら、開始前・開始後の上限(6条1項)に収まる算式を示し、既払額が上回れば返還します。
ねらい解約手数料の上乗せ枠が開始後の解除にはないため、キャンセル料を一律に定める書き方は、自社分割の受講者には働かない場合があります。
ヒヤリングで確認すること
分割払いの条を書き始める前に、事業者の方に確かめておくと、後の手戻りが少なくなる点を挙げます。
確認したい問いと、その理由 支払方法の条を作る前に
支払い手段は、銀行振込、カードの一括、カードの分割・リボ、決済サービスでの毎月課金、信販会社の立替払い、後払いのうち、どれを用意しますか。
手段によって、割賦販売、包括信用購入あっせん、個別信用購入あっせんのどれに関わるかが決まります。「銀行振込の分割は認めない」と決めても、決済リンクを分割して発行すれば実質は自社分割になります。
自社で分割を受ける場合、回数と、初回から最終回までの期間はどうなりますか。
2か月以上かつ3回以上に当たるかを、日付で数え直すためです。猶予や期日の延期を認める運用があるなら、それも含めて確認します。
一括払いの価格は一つですか。支払方法で価格を変えていますか。
現金提供価格の表示と、分割の手数料の説明に直結します。販売ページと契約書の価格が食い違っていないかも点検します。
遅れた受講者に、郵送などの書面で催告できる体制はありますか。
自社割賦では、解除や一括請求の前に書面での催告が必要です。体制がなければ、自社分割を2回までにする、またはカード会社の分割に一本化するという選択肢があります。
受講の申込みに至る導線は、ページからの直接申込みですか、電話やオンライン面談を経ますか。
面談を経る場合は電話勧誘販売の問題と、信販契約の取消しの問題が出ます。説明の内容も確認します。
受講者に、開業を目的とする個人や、法人名義の申込みはどの程度いますか。修了後の仕事の紹介を説明していますか。
適用除外が使えるかは実態で決まり、仕事の紹介を伴う勧誘は適用除外から外れる例外に関わります。
既存の受講契約や特定商取引法の表記に分割払いの記載がある場合は、支払方法・価格・返金の記載がそろっているかも、あわせて点検します。
起きがちなこと
書類全体の組合せは養成講座の契約書と認定講師規約の全体像、広告の表示は民間資格の名称と広告表示で整理しています。
よくあるご質問
受講料を3回に分けて受け取ると、割賦販売法の対象になりますか。
対象は、指定役務の対価を2か月以上の期間にわたり3回以上に分けて受け取る場合です(2条1項1号)。養成講座は「技芸又は知識の教授」(施行令別表第一の三第11号)に入り得ます。3回払いでも、全額を申込みから1か月以内に受け取るなど、期間が2か月に満たなければ、定義には当たりません。
受講者がカードで分割払いにする場合、学校は何も気にしなくてよいですか。
学校はカード会社から一括で受け取るのが通常ですが、受講者は、講座が提供されない、契約が解除されたなど、学校に生じた事由をカード会社に主張できます(30条の4)。この権利を奪う特約は無効です。学校の契約書で残額の支払義務を定めても、実効性はありません。支払総額が政令で定める金額に満たないものは適用外です(30条の4第4項)。
自社分割の受講者が支払を遅らせたとき、すぐに契約を解除して残額を請求できますか。
自社分割が割賦販売に当たるなら、20日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、その期間内に支払がないときでなければ、解除も、期日の来ていない分の請求もできません(5条1項)。これに反する特約は無効です(同条2項)。メールやLINEでの催告は、書面の催告にはならないと考えておく方が安全です。
分割払いの受講者が途中でやめたとき、解約手数料を差し引けますか。
自社が割賦販売をしている場合、開始後の解除の請求額は、提供された役務の対価相当額に価格差を加えた額までで、解約手数料を加える枠はありません(6条1項5号)。特定継続的役務提供に当たる契約に限り、解除によって通常生ずる損害の額を加える枠が別にあります(同項6号)。
開業を目指す受講者との契約は、割賦販売法の適用除外になりますか。
営業のために又は営業として締結する契約は、適用除外になります(8条1号、35条の3の60)。ただし、申込書の一文では決まらず、実態で判断されます。また、修了後に仕事を紹介するなどの業務提供誘引販売に係る契約のうち、自宅等で働く個人との契約は、適用除外から外れる例外があります。
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本ページは一般的な情報提供です。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)